2008.09.01
レポート・駅近オススメスイーツ対談@池袋コミュニティカレッジ

8月30日、「池袋コミュニティカレッジ」にて開催された「平岩理緒×安食雄二 対談!!駅近オススメスイーツを語る」、おかげさまで無事終了いたしました。
超人気パティシエにして、池袋コミュニティカレッジでも、時々、お菓子講習会を開催されている、安食雄二シェフをゲストにお迎えしてのトークイベント。
お越しくださいました皆さま、どうもありがとうございました!
現在、ご自身のお店をオープンされるため、ご準備・充電中でいらっしゃる安食シェフ。
皆さまも、ぜひご近況を伺いたい!といった様子で、拍手でお迎えです。
今回は、拙著、 『アフター6のスイーツマニア』の中でご紹介しているお菓子のうち、「イケセイ」こと西武池袋本店の地下食品売り場で購入できるものを、洋菓子2品、和菓子1品。それに、このイベントのために、もう1品ちょっと特別なものを用意して、ご試食いただきました。
実家近くのターミナル駅だった池袋。西武池袋本店は、子どもの頃からなじみの深い百貨店で、よく、母が手土産を選ぶのを傍らから眺めていました。
まずは、そんな、昔からなじみのあるお菓子達から試食です。
「松蔵ポテト」の「スイートポテト」。
「松蔵」は、1949年、当時、帝国ホテルの製菓チーフをつとめていた井上松蔵氏の薫陶を受けて生まれたブランドです。
鹿児島・宮崎産の名品種、高系十四号のさつまいもを使ったスイートポテト。
1個丸まる乗ったお皿が運ばれてきたのをご覧になって、
「これは大きいなー!」と安食シェフもびっくり、の大迫力です。
100g単位の量り売りですが、お店に並んでいるのは、およそ200gくらいのサイズ。
皮を器にして、中にたっぷり、さつまいもをこんもりと山盛りによそい、上には美味しそうな焼き色が。
「うーん、思ったとおりの味ですね!」と安食シェフがおっしゃるように、気取らない、素朴な、けれど何とも言えずほっとする美味しさ。
これは一番大きなサイズですが、一口サイズの「ポテコロ」や、切り株の形に見立てた「ブッセラ」など、色々な大きさがあるのも嬉しく、我が家のおやつにも、よく登場していました。
そして、皮付きさつまいものスイートポテトは、プリンとどちらか先だったか、母と初めて一緒に作ったお菓子だったのではないかと思います。
一方、安食シェフは、お母さんがお菓子を作ってくれた、というよりも、小学生の頃から、ホットケーキミックスやプリンミックスを使って、自分でおやつを作っていらしたそう。
それも、卵の量や牛乳の量を変えたらどうなるか、と自分なりに色々と実験したり、どうやったらパッケージの写真のような綺麗な焼き色にできるのかと悩み、頭をひねったりしていたそうです。
名パティシエの素養は、そんな幼少の頃から培われていたのですね!
お次は、「シーキューブ」の「ピアット・フルッタ」。
イタリア語で「フルーツのお皿」という意味の焼き菓子です。
「シーキューブ」は、1996年に大丸梅田店に第一号店がオープンし、西武池袋本店には1999年にオープンしています。
当時の私にとっては、「イタリア菓子」のお店というのはまだ珍しく、また、フルーツの輪切りを焼き込んだこのお菓子、見た目も洒落ていて気に入っていました。
値段もお手頃だったので、オレンジ、キウイ、りんごの3種類がセットになったものなど、ちょっとした手土産によく買っていったものです。
安食シェフとは、打ち合わせの際に、本の写真だけ見て、どんな配合かある程度想像がつくものですか?とお話していました。
「うーん、糖分が多い生地なのかな。それで薄く焼くと、結構、カリッとしますね。フルーツは薄切りにしてコンポートしてあるんでしょうね。」・・・など。
生地の上にフルーツをのせて、上下をワッフル焼き器のような模様のついた型で押しながら焼いて・・。
そんなふうに、このお菓子はどうやって作るのかな?と想像するのも楽しいものです。
召し上がって、「あー、でもバターが結構最初の方に来てますね。意外とバターが多いのか・・」と、裏の原材料表示をご覧になる安食シェフ。はい、原材料表示は、原材料重量に占める割合の多い順に書くものというルールがありますからね。
一見、「ずっと変わらない美味しさ」のように見えるロングセラーのお菓子も、実は、私達が気づかないところで配合を見直していたり、見えない工夫が重ねられてブラッシュアップしている、ということはあります。
「そういうことは、しょっちゅうですね!ロールケーキなんかでも、実験的に、毎日のように変えてました。」
とおっしゃる安食シェフ。流行にそって、新しいものをどんどん考えるというのは苦手で、ずーっと変わらず、長く愛される物を作り出したい、とおっしゃいます。
そして、焼き菓子は日持ちがすると思いがちだけれど、やっぱり、焼きたての美味しさは格別。香りも全然違う、とのこと。
安食シェフは、ある時、全国的に有名なメーカーの海老煎餅を、職場の皆さんと一緒に召し上がっていたそうですが、ふと表示を見れば、4日前くらいに焼いたもの。あれだけ全国展開で流通をかけているのに、それほど焼きたてのものを出しているとは!と驚いたことがあったそうです。
長期流通を前提に、効率を考えて日持ちのするものを作るというのではなく、たとえば、ご自身がいつかお店を出される際には、「多少、欠品とかを出しても、その日に焼いたものを並べらるようにできたら・・と思いますね。」と語られます。
「メーカーや流通の常識」にとらわれず、本当にそうなの?できないと決めつけないでやってみよう!と果敢に問題提起、挑戦する安食シェフらしいお言葉です。
「手土産だから日持ちするお菓子を・・」というのにとらわれず、焼き菓子だって、出来立てのフレッシュなものを、美味しいうちに食べてもらう。そんなふうに考えられたらいいですよね。
さて、安食シェフは和菓子もお好きだそうで、小学生の頃、塾の帰りの冬の寒い日に、鯛焼きを食べたという思い出を語ってくださいました。
同じお菓子でも、食べるシチュエーションによって、いっそう美味しく感じられるもの。その光景と美味しさの思い出が、強く結びついていますよね。
こちらは、「俵屋吉富」の「リキュールボンボン京野菜」。京野菜の形をした5種類のリキュール入りボンボンに、かわいい!という声が会場からもあがります。
「俵屋吉富」さんは、1755(宝暦五)年創業、250年以上の歴史をもつ、京都の菓子屋さんの中でも、老舗中の老舗。宮内庁京都御所をはじめ、有名な寺社仏閣や茶道家元の御用達をつとめています。歴史の一端を感じさせる、烏丸店の京菓子資料館は必見です。
箱は、3列で15個入り。小ぶりで軽いというのもありがたく、京都土産としてもぴったりの愛らしさなのです。
実はこのお菓子を知ったのは、京都の祇園にある「俵屋吉富」さんの路面店。京都では、四条高島屋といったデパ地下の売場にも並んでいました。
その後、西武池袋本店の売場を覗いてみたところ、普段は並んでいなかったのですが、お願いすると、京都から約2-3日で取り寄せてくださいます。
西武池袋本店をよく利用する方でも、これは意外と、ご存知ないかも知れません。
知る人ぞ知るちょっと珍しい一品は、手土産にも喜ばれそうです。
お店に置いてあるカタログにも、ちゃんと載っています。ちなみに、祇園店限定の「京まいこちゃんボンボン」というのもあるんですよ。
中には、それぞれ違うリキュールが入っています。
加茂茄子にブルーベリー、聖護院かぶらにブランデー、京にんじんにオレンジ、一寸豆(そらまめ)がメロン、聖護院大根がホワイトキュラソー。
口の中に入れてから噛むと、結晶化した周囲の砂糖の壁がほろっと崩れて、ちゅっと、リキュールが飛び出してきます。じんわり広がる甘さと香りが印象的です。
安食シェフに、リキュールボンボンの作り方を伺ってみました。
「細かい数字とかは今わかりませんが・・」とおっしゃりつつ、ご説明によれば、シロップにリキュールを混ぜて、一定の糖度にしていく。
この時、静かに混ぜることが大事で、泡だて器などでカシャカシャと混ぜてはいけません。ボウルからもう1つのボウルに注いで、それを何度か移し変える、といった方法で混ぜていくそうです。
それをスポイトで、くぼみをつけた浮き粉の上に落として、上からも浮き粉で覆い、周囲を結晶化させる。すると、口に入れると周りがほろっと崩れて中からリキュールがあふれる、ボンボンが完成するそうです。
安食シェフも、ここ数年、コンフィズリーの研究を深めていらっしゃいました。雑誌の企画で、「天の川」をイメージして、珍しいコンフィズリーを作られたこともあるそうです。
砂糖菓子に関しては、洋菓子も和菓子も、使う素材は違っても、作り方は共通している、とおっしゃいます。
コンフィズリーって、見た目も愛らしいものが多いですよね。
最近人気の高いギモーブ、パート・ド・フリュイなど、カラフルな詰め合わせも楽しく、ちょっとしたプレゼントにも気が利いています。
さて、最後に「たねや」さんの「五六あわせ」。
沖縄・波照間産の黒糖、抹茶、南高梅の3種類あり、今回は私が一番好きな南高梅です。
これはもう、絶対に楽しい、「自分で突き出す心太(ところてん)」体験ができる容器入り。皆さんにカメラを構えられ「これ、絶対失敗とかできないですよね~。」と苦笑しつつ、見事!綺麗に突き出してくださった安食シェフです。
でも、開けにくかったり、服を汚してしまったりしたら、せっかくの手土産も魅力半減してしまいます。失敗なく開けられるか、説明書きがあるかといったことも、手土産を選ぶうえでの1つの基準となりますよね。
夏期限定の販売で、本来は8月末までの予定でしたが、好評で、9月半ば頃まで延長するかも、というお話。でも、様子を見てということなので、気になる方は、早めにお買い求めを!
心太の原料は寒天ですが、こちらは、「ちょっとジュレっぽい。寒天だけじゃない食感ですね。」と安食シェフがおっしゃるとおり、他の凝固剤も使われていて、サクサクした寒天の食感だけでなく、より、つるんとした弾力があり、喉越し滑らかになっています。
ひんやり冷やしてお皿にあけ、梅の甘酸っぱいシロップをかければ、暑い季節にぴったり。
そして、これも忘れてはならない、何しろ私はショッパーマニアなので、各店デザインを凝らした紙袋の話題も取り上げます。
たとえば、「シーキューブ」は、「C」の右上に小さな「3」を書いて、「Cの3乗、すなわち立方体=キューブ」と読ませるロゴが面白いですね。
「俵屋吉富」さんは、京都の老舗和菓子屋さんらしい、落ち着いた色彩と、代表銘菓「雲龍」を思わせる龍のデザイン。
安食シェフも、「デフェール」の紙袋やロゴをデザインされる際、女性が持ちたいと思うようなかわいらしさや、なじむ色など、意識されたそうです。
女性ファッション誌なども、色彩を考えるうえで参考になるとおっしゃる安食シェフ。
新しいお店のショッパーやロゴのデザインも、今から楽しみですね。
トーク内容は多岐に広がり、「パティシエ、料理人、ブーランジェ」のお話も、皆さんの印象に残ったようです。
よく、「パティシエは数学者、料理人は芸術家、ブーランジェは科学者」と喩えられるとのこと。でも、安食シェフは、パティシエは「建築家」なのではないかと思うそうです。自分が使う素材のことをよく知っていて、それを組み合わせて1つの形にしていくという・・。
パン屋さんで初めて働いた時、素材の温度管理からきっちりとやって、グルテン質を作り出し、生地の出来上がり温度を緻密に計算し・・とまるで化学反応を引き起こすかのような仕事ぶりが、それまで経験したことのないもので、インパクトがあったそう。
料理人の方や、ブーランジェの方との交流やコラボレーションの機会も、色々と刺激になっていらっしゃるそうです。
そして、気になる、新しいお店の展望について。
「年内は思い切り遊びます!」との宣言。パティシエという職業だと、クリスマスをご家族とゆっくり過ごすといった機会もなかなか無いですものね、と受けると、
「でもクリスマスはドリカムのライブに行きます! ありえませんよね~。」と笑う安食シェフ。でも、とても楽しそうでいらっしゃいました。
今は、インターバルの時期でいらっしゃいますが、来年くらいから始動できたら・・とお考えのようです。
好きなことをめいっぱいなさって充電していただき、また思い切り、ご自身のお菓子作りに向かっていっていただきたいですね。
そんな安食シェフのお店がどこにオープンするかは、皆さんにとっても関心の的ですが・・。駅近ではなくても、「アフター6のスイーツマニア」が仕事を頑張って終わらせて、帰りに寄れる所だと嬉しいですね。
私も、仕事帰りに渋谷から田園都市線の急行に乗って、閉店間際のデフェールに駆け込んだことも、何度かあります。
そんな、「アフター6のスイーツマニア」の「路面店」バージョン話というのも、語ればきりがありませんが、それだけ、「明日、あの人にどうしてもあの店のお菓子を差し上げたい!」と指名買いに走らせる魅力があるお菓子だということですよね。
最後、皆さんからの質問の中で、安食シェフが以前、イベントで作られたモンブランがとても好きで、また作る予定はありませんか?といった声がありました。
「あのモンブラン、お好きでしたか?」とニコニコしながらお話を聞く安食シェフ。
そんな、召し上がったお客様からの声が、何より嬉しい、原動力になるようです。
「どんどん要望して下さい。皆さんのパティシエですから」という一言には、終わってから、あの言葉に感激しました~!という声が、何人もの方から寄せられました。
相手に喜んでもらいたい!という気持ちは、作り手のパティシエも、お菓子を選ぶお客様も同じですよね。感謝を込めて、美味しく食べてほしいという思いや、そのためのちょっとした心遣いが、お菓子をよりいっそう美味しく感じさせてくれます。
そんな、これからがますます楽しみな安食シェフとのトークイベントでしたが、終わった後、「美味しかったから、これから西武の地下でお菓子を買ってきます!」という方もいらっしゃいました。
皆さんの「駅近で買える手土産スイーツ」の引き出しに、少しプラスになったのでしたら、何よりでした!
平岩理緒 2008.09.01 デパ地下スイーツ | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
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